Ruriko's naisentaiken

エルサルバドル内戦体験記

お!うれしいぞ

崖に張り付いて作業していたら、下で、なんだか宅急便らしい人が来た。

おや、なんだろう・・・心当たりがなかった。なにも注文していないし、最近、誰からも音信がない。手紙はおろか、個人メールだって来ない。家族は用事があると、わいわい騒ぐけれど、こちらに用事があるかもしれないという想像力は全くないらしい。メールの返事だって、来ないもんね。

で、その宅急便は、弘前の兄嫁からだった。兄は私より10歳上だから年齢を数えやすい。学者なんだけど、彼の研究や論文は、みんなドイツ語で発表されているので、私は何をやっているのかまるで知らない。

その兄が、なんだか、足腰が弱くなり、心筋梗塞を起こし、一人じゃ歩けないとかいうことを風の便りで聞いた。ところが、その兄が、何かの用事で、東京まで出てくるので、兄嫁さんが付いてくるらしい。歩けないから、銀座のあるホテルに泊まるから、今生の別れに、会いに来いということを1月前あたりに聞いた。じゃあ、行くよ、とメールで返事しておいたが、そのあと、何も言ってこなかった。

79歳にもなっていれば、いつ死んだっておかしくない。感情がないわけじゃないけれど、私だって、そのうち行くんだから、まあ、でてきたら会おう、とそんな調子で考えていた。

その兄嫁が、いろいろな東北のせんべいを送ってきた。なんだか、すごく嬉しかった。私は田舎っぽい食べ物がすごく好きなんだ。私たちが兄弟が東京育ちで、ブランド大学を出ているもんだから、彼女、誤解していたことがあって、弘前からフランスの菓子を送ってきたことがあった。その時私が、東北線のキオスクみたいなところで売っているような、田舎の藁の匂いがするものがいいなといったことがあるのだけど、その時彼女、ええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっと、本当にたまげていた。

宅急便の中身は、ブランド大学出身ようじゃなくて、「ばああちゃんのくっちぐせ」のCMみたいなばあちゃんが好むものばかりだった。それがうれしくて、さっそく電話したら、彼女、「あんなへんなものお・・・」と言っていた。彼女、私より若い。子供も二人いるけれど、親戚中で一番若い。兄貴、いろいろあって晩婚だった。幸福な晩年を生きているらしいけれど、もうすぐ死ぬらしい。今週の土曜、「今生の別れ」と彼が言う会合に行ってこようと思う。