Ruriko's naisentaiken

エルサルバドル内戦体験記

娘のその後とパン作り

10月5日朝8時半

去年の12月と、7月に帰国してから、ガレージセールやバザーで、手持ちの装身具をみんな売りとばした。その中には、母の形見も入っていたし、娘からのプレゼントも入っていた。それで、今回エルサルバドルに戻って、とりあえず売れなかった、または思いで深すぎて売らなかった装身具だけ持ってきたのだけど、娘がそれを憐れんだらしい。

昨日彼女、ちょっと素敵なネックレスを買ってきてくれた。日本では「エスニック」と表現している、この国ではごく一般的なものだけど、娘はすごくこだわる人間で、なかなか趣味が良い。

この国では、その「エスニック」以外は、町でつけていられない。金だの銀だのは高級品だから、高級品を町でつけて歩こうもんなら、命を落とすことになっている。ただ、実は、日本の猛暑で過ごしている間、私の首は汗もだかアレルギーだかで、ひりひり傷んでいて、鎖のネックレスはちょっと敬遠していた。でも、娘の気持ちだ。襟のある衣類の上からつける以外にない。私は憐れまれるほど装身具にこだわりがないのだけど、人の気持ちにはこだわりがある。

その娘、癌の克服のため、ヨガをやり始めた。胃腸は食べ物が入るから下に垂れてくる傾向があるから、毎日1度さかさまになって胃腸の位置を元に戻すのが良いそうだ。それで毎朝さかさまになってじっとしている。変なやつ。

それで定期健診にもいかない。長年学生やっている薬学の最後の年で、12月にやっと卒業だから、研究だの実験だのが忙しいそうだ。で、癌の克服のためにはさかさまになる時間しかない。まあ、勝手にやってくれ。何言ったところで耳を貸す人間じゃないから。

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午後4時

パンを作ろうと思って、材料を集めていたんだけど、全部一緒に売っているところがなくて、この数日、あちこち探し、強力粉とイースト菌とバターと、計量秤をやっと手に入れた。で、午前中他の物も一緒に探しまわったから、疲れきって寝た。

ほとんど夕方になって、パンを作る気になって、例の私が動いていい空間のベッドの横に材料をすべて集めて、眼鏡をかけて、レシピを見ながら材料を調合し、セットしたつもりになった。機械が作動し始め、それで放置すればいいのかと思ったのもつかの間、セットした数字が気になって、もう一度レシピの乗っている付録の本を見たら、最初の最初からセットを間違えていた。

もう、やり直しがきかない。機械の構造を知っているわけではないから、間違えたら間違えたで、なるようになるのを待つのみ。ごく当たり前の食パンを作るつもりで、生地がお米のパンのセットをしてしまった。そうするとどうなるのか、全く分からない。機械は回っているから、何かができるのだろう。少しべたべたとか少し硬すぎとか、そんなもんなら食べられる。機械というものはだれかにとってバカちょんでも、野原にはいつくばって草抜きしているのが趣味のばあさんには、無理なんだ。

デ、最初は失敗の巻き。