Ruriko's naisentaiken

エルサルバドル内戦体験記

新しい絵が4枚できて、手持ちの額におさめた。後2枚かきかけで、別の2枚は下塗りをした。自宅で予定しているガレージセールと同時開催で、自宅画廊で個展をするつもりだ。なんだか、死に物狂いだな、と自分で感じる。昔師事した先生が、追い詰められないといい絵が描けない、と言っていた。その状態が今の私なんだな。

ところで、今まで売れた絵、どういうわけか、日本人には一般化されていない題材のものばかり。マラニョンだとかアルマジロだとか、蜂鳥だとか。これって、私が愛情を持って描くからだろうなあと考えている。技術的に一流の絵が売れるわけじゃない。

私がエルサルバドルに始めて暮らした頃、一日中眺めていたのが空の鳥。それから、1本の木を東西南北から眺めると、芽吹いている枝、花が咲いて葉が茂っている枝、実がなっている枝、そして紅葉している枝が視界に入り、たまげてしまった。以後それを題材に、「春秋一枝」と名付けて絵をかいた。油絵なんかかいたことがなかったからとりあえずスケッチしておいた。それが実はマラニョンなのだ。

日本に帰国して母を見送ってから、ある油絵教室に入門した時、そん「春秋一枝」を先生に見せたら、せせら笑って言ったもんだ。「こんな季節感のないでたらめなもの、絵じゃない。」

恥入った私は、その絵を隠して、決して人に見せなかった。ところがのちに、その先生とウマが合わなくなって飛び出して勝手に独立宣言をしてから、やっぱり私の題材はあの、季節感のないでたらめなものに戻っていった。

ところが、個展を開くと、そういうでたらめな題材の絵ばかりが売れるので、内心私は小気味よかった。人は、当たり前で、一流の腕のある作家の絵を買うわけではない。

作者がどうしてもかきたくて、愛着を持って描くものを喜んでくれるらしい。また、マラニョンをかく。