Ruriko's naisentaiken

エルサルバドル内戦体験記

ああ、痛恨の

ここの家は日光が射さない。これだけ私が回復しないのは、5時に起きて自転車に乗って、朝の太陽を浴び、テレビ体操をして、規則正しい生活をしていた日本の生活から一変して、日光の射さない暗い家で、まったく自分が主体になることなく、二人の病人のなかで、パソコンを相手に暮らし始めたからだ。

自転車が恋しい。日光が恋しい。じじばばクラブの体操が懐かしい。3食自炊の自分の味が恋しい。自分のパンツ、自分で洗いたい。自分流儀に整理した一部屋がほしい。ゴミ捨て女に頭に来ながら、外回りを花だらけにしていたあの生活に戻りたい。そう思うと、失ったものはとんでもなく、すばらしいものばかりだった。

私が植えた花たちは咲いているだろうか。桜が散って、たぶん、雨どいはつまっているだろう。あの家、私の住みか、あそこに私は魂を置いてきた。

それにつけても金がない。去年から、私は乞食になった。娘の癌が発覚してから、どんなに私は自分の起こした不祥事に痛恨の念を抱いただろう。あれがあったら、こんなに苦労しなかった。あれがあったら、あれがあったら、あれがあったら、102歳の爺さまの新聞代まで節約して、けちけちしなくてもよかったものを。慙愧の思いに心はひしゃげ、何をやっても立ち直れない。