Ruriko's naisentaiken

エルサルバドル内戦体験記

夫との対話

今年は私の家族にとって、ろくでもない1年だった。しかし、人の情けをいままでになく極端に感じさせられた1年でもあった。考えてみればなくした「もの」よりも、得た「こころ」の方が数倍の価値に気付かされる1年でもあった。

この1年について、スカイプに出てきた夫に、ぼそぼそ語っていたら、彼が言った。

本当に、自分の仕事に関しても、家族の事でも、不可解な事件ばかりが起きた1年だった。「でも」でなく「だから」、これは何か凄いことが起きる予兆だと自分は信じている。自分たちは何も悪いことをしなかった。いつも善良に生きていた。事件に対する対応も、自分たちができるすべての事をした。必ず次の展開は、順調のはずだ、と自分は信じている。

アメリカ原住民の予感だな、と、私は昔彼の父親に感じたと同じ思いを感じた。

彼はキリスト教の影響を受けているが信者ではない。彼らの精神の底に流れるものは、大地から感じ取る「気」のようなものらしい。

今回の私の事件を知らせたときに、本当に彼は落ち着いていた。人間本来無一物だと、開口一番彼は言った。一言も私を責めなかった。

彼の周りにもいろいろなことが起きた。なんだか知らないけれど、彼は、私のビザの事も、あまり乗り気になっていない。何か期することがあるらしいのを、私は感じて、口をつぐんだ。自分たちの意志以外の働きを彼は信じているらしい。

だったら。

私も展開を待とう。