Ruriko's naisentaiken

エルサルバドル内戦体験記

松戸往復

今日のこころの時代、仏教の坊さん。何度か見たことがある。仏教界からは、いろいろな派からいろいろな話が聞けるが、今日の坊さんが一番いい。知識をひけらかさず、自分の使命をむき出しにせず、おだやかに、普通の言葉で話している。「おかげさまで」が、「だれのおかげ」かを話していた。現代人は「お元気ですね」に対して、「いい薬を飲んでいるから」とか、「いいサプリメントを飲んでいるから」とか答えるが、薬やサプリメントの前に、誰に「生かされているか」というはなし。それを現代人は、忘れちゃったという話。気にいったのは、「誰」とはっきり言わないで、聞いた人が、久遠の過去のことを思い出すように、のんびり話続けている態度。

一番聞きづらいのは、仏教学者で傲慢な男。名前はあえて出さない。あれが信仰しているのは自分の知識と頭脳だろう。鼻に着く。たぶん、あれは、現役の大学教授だね。学生に答えを提供して暗記させる種族。

体操が終わって、空を見たら、まだ降りだしてない。降り出すまで走ろうと考えて、用意だけは昨夜からしておいたから、鶏に餌をやって、そのまま、自転車に乗った。

気がつかないだけで、なんだか、細かい雨が降っているような空模様だった。それで大降りになってからあわてないように、ビニールの半コートだけを着て、走った。教会についてから、自転車を守るため、来ていたビニールコートを自転車にかけ、中に入ったのだけど、のどが渇いて初めて気がついたのが、いつも忘れないアクエリアスを忘れてきたことだった。教会にも販売機があるが、あいにくアクエリアスはなかった。適当なものを買って飲んだけど、甘すぎてまずかった。

司式はありがたいことに言葉のわかる日本人司祭。メモ読み神父でもなく、主任司祭。で、終わったので外に出たら、みんな傘差しているじゃないの。ぎょ!

雨の中、50分か…。ちょっとたじろいだ。

雨だろうが雪だろうが、帰らないとしようがない。雨対策なら、いろいろ手持ちのグッズがある。荷物の中をごそごそ探した。あれ、なんていう名前か知らないけれど、旧式にいえば「脚絆」。生協で買ったのだけど、雨の日に自転車に乗るときに、はじく雨で足が濡れるを守るための、くるぶしから膝までの覆い^^。それを見つけて両足に装着し、雨合羽をつけて、その上からヘルメットをかぶり、自転車にまたがったら、教会から出てきた人たちが、ちらちらしてみんなニヤニヤしている。

そのうちの一人が、「重装備ですね」とかいって、じろじろ舐めまわすように見ていた。私は門のところで準備していたので、自分の姿を鏡で見ていないから、どう見えるか、知らない。まあ、いいや。

雨は大したことはない。あまりものを考えないで、「いつもの道」を江戸川土手に向かった。で、土手に上ってちょっと驚いた。日曜はいつも土手の下の河原は、野球やサッカーの練習の人でいっぱいだ。その河原がすっかり水に浸かっている。土手に上っている人なんか、ほとんどいない。それでも私はのんきだった。小雨模様で人出が少ない、良かった、ここは私の天下だ…

ところで、どんどん走っているうちに怖くなった。なんで、あちこち、水害で騒いでいるときに、わざわざ川のそばに来て、氾濫した河原なんか眺めているんだろう…。ニュースでは、そういうのがよく洪水に流されて死ぬんだ。誰もいないということは、危険だからいないんだわ…

土手の上の自転車道は一度上ってしまうと、そう簡単には降りる道がない。雨は小ぶりだから、これ以上の事態にはならないだろうけれど、人っ子ひとりいない土手の上に、婆さんが一人三輪車で走っていること自体、異常だぞ。

私は海から20キロの地点で上った。下りるところはこの先、5キロばかり走って松戸放水路の地点までいかないとない。人がいないことをいいことに、凄い勢いで吹っ飛ばした。一人だけ、サイクリングの男とすれ違った。しかし彼がいく方向は東京の方だろう。それにたぶん、彼らのスピードは私の三輪車の数倍だ。もう、見えなくなっちゃった。

何とかこぎまくって、松戸放水路の地点にたどり着き、下り始めた。いつも、町中を避けて、田んぼの道を行くのだけど、今日はもっと危険を感じて、町中を突っ切る道を選んだ。

やっと見慣れた景色の中に入った時、ほっとしたのだが、胃のあたりに激痛を感じた。いつも骨のことばかり気にしていたから、胃の痛みに戸惑った。いつも持参している薬入れに、その手の薬を置いてないのだ。でも、あと一息。

やっと家の手前の畑のところにたどり着いたら、いつか、鶴さんが畑の紫蘇をいつでも好きなだけ持っていっていいという話をしていたのを思い出して、数枚もらおうかと思って自転車を止めた。

そうしたら、名前も覚えていない近所のおばさんにあった。私の顔を見て、いきなり、「ありがとうございました、と挨拶する。なんだっけと思ったら、枇杷が豊作の頃、手当たり次第に近所に枇杷を配ったうちの一人だった。あの時、家を出たら顔みしりの人に出会ったから、あげたんだけど、そうそう、其の人、このおばあさんのところのお嫁さんだった。

で、待ってて、今なすとってくるから、あげるから、と言う。なすは、昨日イオンに行って、買いそびれた。ああ、よかった。ナスがもらえるなんて、うれしい。鶴さんの紫蘇を4枚いただいて、待っていたら、彼女、ナスとゴ―ヤをとってきた。

立ち話していたら、昨夜、近所の誰かが救急車で運ばれたはずだ、と言う。ここいらで、危ないのは、たぶん、うちの隣のお坊さんの奥さんだろう。そうか、自分の胃腸の異常を忘れて、家に帰って、かなりぐったりしたのだが、しばらく休んでいるうちに、胃の方が思い出して、強烈な痛みを伝えてきた。

単なる下痢だと高をくくっているけれど、様子を見て、明日、医者にでも行くか。1割負担になったんだし。(実はこの前整形外科に行って、清算しようと思ったら、「190円です」と言われてたまげたね。これなら遠慮せずにどんどん医者にかかろう。