Ruriko's naisentaiken

エルサルバドル内戦体験記

「ばあさんの自転車奮闘記」2020年11月8日

 「骨粗鬆症と自転車」3

 

「転倒を恐れて鉄兜を買った」

 

殆ど半年たっても、私は「白鷺」を乗りこなしたわけではなかった。いろいろなところに出かけて、ただがむしゃらにやっているだけで、よく転倒し、しかも転倒すると必ず頭を打った。

 

私はネット検索で、「鉄兜」を探した。バイクに乗っている人がつけることを義務付けられている、あれ、そのときは、どうしても「鉄兜」という言葉しか思い出せなかった。私はそれをネット検索で探して買いたいと思い、現代語を思い出そうとしたのだけど、言葉が出てこなくて、こっそりチャット部屋に入り、バイクの話をしながら誘導尋問して、それが「ヘルメット」だということを思い出した。

 

そうそう、そのヘルメット・・・

 

うまく行って、私は楽天から、その「ヘルメット」を買った。自転車用のアナだらけのをつける気がしなくて、顔を覆うことのできるバイク用のを買ったので、頭をそれですっぽり覆い、鏡を見て、おおー!!まるで、月光仮面だ!!と、やっぱり時代がずれたことを言いながら喜んだ。多分、今なら仮面ライダーだ。まあ、そんなことは、どうでもよろしい。

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「鉄兜」

 

10月も下旬、買ったばかりの鉄兜をつけ、ギアの練習をするつもりで、この前偶然見つけた北小金の南口に出るガードをめがけていつもとは反対のコース、つまり、長いこと散歩の習慣をつけていた田んぼの中の道を走り出した。

 

いつもの散歩は土手の上だったが道が細くて怖いので、下の砂利道を走った。しかし坂を登ろうとすると、必ず目前を自動車が横切るので、車に気を取られてなかなかうまくいかない。そのうち土手の上の道と、下の道が合流するところまで来てしまい、徒歩の体力訓練爺婆をやり過ごすのに苦労するあまり、ギアどころではなくなって、何度も何度も降りて歩いた。

 

ところで無事に、南口につながるガード下まで行ったのだけれど、この道はS字型にうねっていて、しかも車がぬっと現れるのに、白鷺には反射鏡も付いてない。また自転車を降りて、のこのこ歩いた。

 

おまけに・・・。自慢の月光仮面のヘルメットは、バイク用だから顔面にシールドが付いている。これから冬になって風を受けるのにいいかと思って買ったのだけれど、それが汗のために曇り始め、見えなくなるじゃないの。

 

あの小型の自転車に月光仮面が合うか合わないかは別として、こりゃまずいわ、と思った。

 

ちょっと休んで汗を干し、とにかく帰路は本土寺をまわっていつもの良く知っている道を帰ってきたが、肝心のギアの練習は、まったくできなかった。まあ、乗るだけで4ヶ月もかかっているのだから、ギアのマスターも4ヶ月かけるべい。

 

ある日、いろいろ買い物を思いついて、すでに行きなれた駅への道を、月光仮面をつけずに走った。本当は日中こそ危ないからつけるべきなのだけど、自転車には荷台も籠もなく、リュックにものを詰め込んでいるから、店の中ではずした月光仮面の処置に困ると考えて、散歩のときにかぶりなれた帽子をかぶって出かけた。

 

日中はとにかく交通量が多くて怖い。この中を100歳近いばあさんが自転車ですいすい走っているのを見ると、思わず感動してしまう。もちろん彼女達は帽子も何もかぶってない。車の前をちょろちょろすり抜け、まるで魔術のように無傷で走っている。

 

セリア(どこにでもあるのかな、100円ショップだけど)に到着し、「セリアブランド」をいろいろ見繕って、その場で荷造りをし、郵便局に向かって走り出したら、私がいつも絵の材料として奇木を買っている材木屋に手ごろな切り株が売りに出されているのを発見した。もって帰れそうな大きさなのだけど、背中の荷物はいっぱいで、バランス感覚の弱い自転車初心者には無理だ。取りおきを頼んでお金を払い、郵便局まで走ったが、用事を済ませて、帰路についたら、雨が降り出した。

 

しかもいきなり土砂降りだ。まずい!私はすぐに風邪を引くし、風邪を引いたら、すぐに胃腸に来る質なんだ。風邪を恐れるあまり、土砂降りの中を自転車を吹っ飛ばした。反射鏡も、交通状況も目に入らず、ただまっしぐらに家に着いたときは、ずぶぬれだった。膝も腰も痛い。コーヒーと風呂を一緒にわかし、体に張り付いたぬれた衣類を剥ぎ取って、風呂に飛び込んだ。それから友人がくれたカップめんにお湯を入れて昼飯にし、頭から布団をかぶって、ねた。

 

それにしても、ヘルメットって、眺めているだけで元気が湧くね^^。これつけているばあさんて、まったく見たことないけれど、ヘルメットの本来の目的からして、ばあさんこそかぶるべきじゃないかな。

 

似た様な事で、67歳でパソコンをやっていると、なんだかひどく驚かれる。私にいわせ言わせれば、若くて元気なのに、パソコンだの携帯だのをじっと動かず眺めて暮らしている連中なんて、馬鹿だと思うよ。老人になって、行動範囲も狭くなり、体力も衰えた人間だからこそ、パソコンは必要なんだ。私が60になってパソコンを始めてから、まるで家に閉じこもっている毎日なのに、世界は広がり、友人も増えた。

 

若いのが一日中動かずにパソコンに向かっているのなんて不健全だけど、爺婆にとっては、必需品だと思うけどね。買った真新しい、孫が喜びそうな月光仮面のおもちゃみたいな、ヘルメットを眺めながらつくづく思った。他人にどう見えるか知らないけれど、ヘルメットつけた自分の姿に、私は惚れ惚れしている。

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「教会探索」

 

十月末日早朝、5時半に自転車で別の道を探索に出かけた。まだ薄暗いから、あまりくらい色のジャンバーを着てでないほうがいい。そう思って、ピンクのジャンバーを身に付けて、白鷺号にまたがった。なんか、かっこいいかもしれない。なんて自分で思いながら、柏のほうに向かった。(このピンクのジャンパーも、69歳のばあさんが着るものじゃないそうです。)

 

柏も松戸市の隣町で、このところあまりいかなくなった。その当時、柏にはそごうと高島屋とビックカメラがあった。(今はそごうが消えたけど)高島屋には丸善があり、そごうには浅野書店という本屋があって本屋が目的で、昔はよく行ったものだ。

 

ところが柏は、渋谷新宿みたいな町になって、いつも人がうじゃうじゃいる。特に若い怪しげな風体の連中がいつもうようよしていて、ぶつかったら危ないので、いけなくなった。この際自分の怪しげな姿は言及しない。目も悪くなり、膨大な本が並ぶ本屋で、立ちすくんでしまう。そうなって以来、私は本を買うのは、ネットの中のアマゾンで注文する癖が付いた。

 

ビックカメラはパソコン関係のものを買うためにたまに行くが、あそこは店内の音響がうるさく、店員は若くて、すでに言語が通じない。若すぎて、恐竜みたいな古典的ばあさん対応ができないらしいので、だんだん敬遠するうちに、足も遠のいた。

 

今日、柏の方面に向けて出発したのは、柏そのものが目的じゃなくて、TXの駅に行く道路を見つけたかったからだ。TXにオオタカの森という駅があって、あの超新型の電車が通じていなかった頃、森にオオタカが住んでいたらしい。TXが開通してオオタカの森を分断したので、いくら駅にそんな名前をつけても、オオタカは住めずに消えてしまった。

 

そのオオタカの森の先に豊四季カトリック教会があって、その近くに老人夫婦が個人的にやっている規模の小さい養蜂所があるという情報をえた。 

それ以前、亀有教会のバザーに、グアテマラの民芸品を売りに行ったら、隣で、蜂蜜を売っている爺婆がいて、いろいろ話をした。彼らはその教会の近くから来たと言う。いろいろの花の蜂蜜を試食させてもらったが、その中に「野の花」というのがあった。他の良く知られた花よりも、その「野の花」の蜂蜜が一番おいしかった。野趣があって面白い。クリスマスなんかに人様にプレゼントするにも気が利いていていいかもしれない。 

最近足が遠のいている松戸教会は、さすが遠くて自転車で行く自信がない。でも、オオタカの森の近くなら、怖い街中でなくて田園地帯だし、自転車で行くのもいいかもしれない。ということで、本当は蜂蜜に引かれて、その教会を見つけようという気になった。 

しかし、田園の中の国道というのは、街中の車道より、危険だった。何しろ、人間が通るなどということは想定外らしい。車はロケットのようにものすごい勢いで飛んでいる。1時間もしたら恐怖で真っ青になり、逃げ帰ってきた。 

家の近くで、力尽きて、ころんだら、近所のおばさんに声をかけられた。「かっこいいねえ、その「頭巾」。」^^。私よりうわてがいた。鉄兜でもなく、ヘルメットでもなく、「ずきん」ですよ。