Ruriko's naisentaiken

エルサルバドル内戦体験記

チャリティーコンサート

日曜日、或る教会のチャリティーコンサートに行った。震災被災者のためだというから、1月前、前売り券を買ったのだけど、あまり気が進まなかった。コンサートの会場が教会の信徒会館で、何処の教会でも信徒会館と言うところは、コンサート用になんかできていない。座席も居心地が悪く、空調も不完全で、しかも客のマナーが悪い。一所懸命やっている主催者に言ったことはないけれど、まともに聞いてもらいたければ、音楽会は音楽会場でやった方がいい。なんて思っていた。

だいたい「チャリティー」と銘打って挙行する物は、主催者側は、協力者である客人に甘えている。不便不都合をすべて我慢させる。面白くなくても、ありがたがらなければならない。凄く面倒だ。

松戸教会で買ったものだから、同行者もいない。誰とも約束していない関係で、行きたくなきゃあ、行かなければいいという便利さがある。ぐずぐずさんざん考えた。

おまけに、ここから1時間以上かかる場所に午後だから、いつ帰れるかもわからず、駅まで自転車で行っていいものか、それともバスの方がいいものか、暗くなってから自転車で帰る危険を思うと、決心がつかなかった。

しかし、そうやってぐずぐずしている間に時間が過ぎ、松戸教会に行く時間を逃してしまったので、じゃあ、そのチャリティーコンサートで、ゴスペルとやらを聞いて、ミサの埋め合わせをしようかと、やっと決めたのが11時。

ところでふと考えた。コンサートに行く服装って、常識的に考えて、ヘルメットにジーンズにTシャツに、あの地下足袋っていうのは、やっぱりまずいかも^^。それで、凄くまともな服に着替え、まともな靴もはいて、ヘルメットだけは、自転車に結びつけて駐輪場に置いていくことに決めた。

駅前で、簡単な昼食をとり、電車に乗ったんだけど、公の交通機関に乗るのは、何年振りだろう。なんか、勝手が違って、おどおどした。隠し持った杖をついて行ったから、首尾よく座席に座れたけれど、しばらくしたら、隣に座っている男性が、なんかもそもそやっているので、ふと横を見て驚いた。鏡を出して、口紅塗っているじゃないの!え?さっと見直したけど、確かに男性。しかも、若い学生風の男。

世の中変わったもんだ。車内で化粧している女性に頭にきた「時代」が終わって、今は男が車内で化粧する時代になっていたんだ。私は慣れないもんで、気持ち悪くなった。なにしろ、私は「古風」なんだ。アルソックとかいうホームセキュリティーのCMに出てくる、あの筋骨隆々たる女を見たっておびえてしまうのに、電車で化粧する坊やの隣に座っているのなんて、耐えられるかなあ、と、やっぱりかなりおびえていた。

ところがその化粧男、2駅後に降りて行った。ほっ!

他人のことだからどうでもいいと言ったらどうでもいいに違いない。でも公共の交通機関で、あんなに個人的な趣味を堂々としていていいもんだか、時代は変わった、と感じた。きっと、あれは、私が電車に乗らなくなってから、一般に認められている「常識的な」行為なんだろう。自分が古いんだと、一所懸命決めて、納得させた。

常識って代わるんだなあ。だったら、コンサートに来るのに、ヘルメットに地下足袋でも、だれも文句言わないかもしれなかったなあ、と思って、これも久しぶりに身につけた一見優雅な衣装を、何か気恥しく思った。

会場となる赤羽教会は、初めての教会なので、足で歩いて探す必要があるから、杖を用意してきた。うっかりすると横断歩道橋を登らなければならず、東京23区内とはいえ、危険な地域なんだ。「赤羽」と言うところは、昔のイメージがひどく悪かったから、かなり用心していた。ホームで電車を待つのにベンチに腰かけていただけで、いきなりやってきた男に、邪魔だっとか言われて蹴っ飛ばされたことがあってね。

とこが、駅を降りてすぐ、何も考えずに交番に飛び込んで道順を聞いたところ、お巡りさんが指をさしたまっすぐ先に、十字架が見えた。何だ、こんな近いのか!と拍子抜けするほどだった。ただ、すぐ前に広い通りがあって、横断歩道は教会の正面から回り道になっていて、すぐには渡れなかったが、杖に頼ることはなかった。

ところで、当事者がいいわけをしていたけれど、前売り券に書いてある開始時間は間違いで、本当は1時間ほど遅いということ。券の印刷が間違ったなんてすごいわ。きちんと印刷してあって、謄写版で手書きでこしらえたんでもあるまいに。「謄写版」て、いまどきの若いの、わかるまいけど^^。

長々とめんどうな前置きがあって、やっと始まった。最初のは、KIKI&CHOUB Gospel Choirというグループの合唱と言うか合奏でもある。衣装がアフリカ風だそうで、楽器もアフリカ太鼓。これは、なかなか良かった。会場の客にも、手拍子で歌うように先導されたけど、あれだけ元気な行動にはついていけない。

KIKIって、何ものかは知らないけれど、ゴスペルシンガーとして、マニラのストリートチルドレンの支援を続けている団体らしい。未だ私は見ていないけれど、ブログが紹介されていた。

http://kikigospel.exblog.jp/  です。

カトリックだか、プロテスタントだか知らないけれど、ニューヨークの教会で洗礼を受けマザーテレサから頂いた手紙を胸に活躍中とか。

(イエス様の名前で洗礼受けているんなら、カトリックだってプロテスタントだって、不問。ばかばかしい突っ込みを入れないでね。バカなコメントするとゲロがブッかかるよ。)

CHOUB GOSPEL CHOIR の CHOUBはシュ―ブと発音するんだそうで、ヘブライ語で「立ち返る」と意味するんだとか。そもそも「立ち返る」と言う日本語もキリスト教用語として使っているから、ちと、説明が面倒です。詳しくは上記のブログで。

2番目のは、Yamaguchi Brothers Bandという。これは渡されたパンフレットにあまり明確に書いていないから、よくわからない。あの音響は、会場の狭さを考えれば、実は苦痛でしかなかったけれど、若者好みのストレス発散が目的みたいなバンド。まあ、バンドを率いている人は60歳だとか。これも強烈なエネルギーの持ち主らしく、どでかい声で歌いまくっていた。あのバンドの中に一人バイオリン奏者がいたけれど、ドラムやシンバルをぶったたくので、かき消されて、バイオリンの音なんか聞こえなかった。あれは、気持ちよく聞いてほしければ、野外でやるべきだ。

最後のは、特別出演らしい。本田路津子さんとかいうゴスペルシンガーだけど、バンドが鳴り響いた後の彼女の声は弱弱しく、情けないとしか言いようがない声だった。祈りの歌をほにゃほにゃと謡う。今はやりの癒しとかに良いそうだけれど、あのバンドのあとじゃ、線が細すぎて、彼女のいいところが見えないんじゃないかな。集まった客はだいたい各教会で呼びかけに応じて来た人たちだから、意見など言わないだろうし、聞かないだろうけれど、折角一つ一つにはそれなりの良さがあるのに、うっかりすると、独りよがりに終わるわ。

順序だけでも3,2,1と逆にすればよかった物を。