Ruriko's naisentaiken

エルサルバドル内戦体験記

疲れたぞ

10月30日

昨日、家政婦が突然文明的なことをいった。
そのために私はものすごい重労働をさせられ、今日は体が痛んでしようがない。

この前来た時に自分のために買っておいた調理用具を使いたいと思うのに、場所がなくて、毎回場所を変えて、不便をしていたので、物干し場にしている土間の隅にあった机の上をかたずけて、電熱器や、パン作りの道具など移動始めていた。その机のすぐ隣にトイレがあって、居間の方にあるトイレが時々使えないときの予備に利用する程度のトイレで、別にあっても邪魔にはならなかった。

ところが家政婦が急に言った。トイレの前が調理場じゃ、ちょっとまずいでしょう。土間を全部整理して、場所を移しましょう。へえ、と思わず感心してしまった。

その土間は10畳ぐらいある仕事場で、洗濯場も洗濯機も、物干し場も普段使わない本棚も、孫の遊び道具も雑然と置いてある、どうにも手がつけられない場所だった。それに手をつけるには家族全員の了解と立会が必要で、厄介な場所なので、実は私も手をつけたくても、体力的に無理だと感じて、放置していた。いわば整理もせず、ただいらないものを放り込んだだけの物置だった。日本で有名なごみ御殿みたいなもので、手をつけるには、ちょっと躊躇せざるを得ない。

私がここにきてから、自分が行動する空間だけは毎日整備して片づけているのを見ていた家政婦は、もともと何とかしたいと思っていたごみ御殿を少し住める空間にできるのはこの人だけだと思ったらしい。わざわざ誰もいないときを選んで、私の調理場にかこつけて、ここを整理して、きれいにしようよと言い始めた。彼女、こっそりそう思っていたんだね^^。

私はものすごく疲れていて、本当はやる気が起きなかったのだけど、どうも彼女、今しかできないと思っているらしく、重いものは全部自分が動かすからという。

住んでいるのは、重量というものを知らない変な住人らしい。何しろ本棚には上の方にばかり重い物を置き、ガラガラに開いている下の部分にはあらゆるごみを入れてある。さすが倒れるのを気にしているのか、上の部分は針金でがんじがらめに壁の突起につないである。整理して動かすには、いったんそれを全部おろして、針金をはずしてやっと移動できるということは、彼女にもわかる。それを全部自分がやるから、整理だけやってくれというのだ。

そうか、とうっかり頷いたら、彼女の身の丈2倍もあるところから本の山をおろし始めた。主人の本と書類だ。文字が読めない彼女に任せられない。だだだだだめ!それ、テーマ別だから、本はおろしても順序を変えたり触ったりしないで!

というわけで、私は土間の整理に手を出さざるを得なくなった。

CDの箱が2つあって、その一つをあけたら、ねずみの糞だらけ、しかもねずみが食った穴が大きく開いていたので、CDを全部出して一つの箱に収め、鋼鉄製の重い本棚を組み立て直し、なんとか位置を変えて、私の調理台が明るい位置に行くように配置替えをして、掃いたり拭いたり後片付けをしたら、やっと落ち着いたはいいけれど、めまいを起こし、ベッドにヘタリこんだ。

しかし、あの家政婦は強い。力の方は全部任せろといっただけあって、ものすごく力持ちだった。めまいを起こした私を気遣って、レモネードを作ってくれた。