Ruriko's naisentaiken

エルサルバドル内戦体験記

骨密度

骨密度のこと

今日は整形外科の定期診療の日で、1年に一度の骨密度の検査日でもあった。ボナロンと言う薬も貰わなければならないから、面倒だけど、ゴミ当番を近所の人にお願いして行ってきた。

で、その懸案の骨密度だけど、数値が上がっていると言って、医者が驚いていた。ボナロンは現状を保持することに効果があるのだけど、上がるなんて、珍しいな、考えられないことだな、と医者が言う。骨粗鬆症の診断は、3年くらい前で、ただ歩いていても転倒したり、腰痛、膝痛、肩も腕も、骨と言う骨は故障を起こしていた。最後にやった個展では、杖をついていた。

医学の知識もないし、どんな診断を受けているかなど知る由もない友人がくれた自転車が、実は私を救ったと私は思っているのだが、医者にはそんなことは言っていない。自転車で痛みがとれたとは、まさか、私もいわないし、骨密度の現状維持は、たぶんボナロンのおかげだろう。でもあのバランス感覚の回復が転倒を防ぎ、運動神経を培い、私は杖から解放されて歩けるようになったのは、事実だ。

ところで、骨密度の回復は、かかりつけの医者だって「不思議がる」現象らしい。自分に思い当たるのは、3月に救急車で倒れてから、うちに出入りする置き薬屋の勧めで、「八雲風化カルシウム」と言うものを摂取し続けたことぐらいだ。錠剤だけど、そのままのみ込むのでなく、がりがりかじって、かなりの量を食べるのだ。すごくまずい。それでも私は食べ続けた。別に祈祷師に祈祷を頼むような種類の解決法を試しているのでなく、薬屋が勧める一応健康食品なのだ。別に試したって悪くはなかろう、と思った。

因果関係はわからない。でも、いつの間にか私は、木の伐採や土運びなどの、かなりの重労働をこなしていて、元気だな、と自分で感じていた時、この前Mさんが来て、私を見て言った。

「わあ、足腰しっかりしているじゃないの!いつか見た時、這っていたのに・・・」

確かに私は、一度彼が来た時、二階から階段を這って降り、上る時も四足で階段にしがみついて上っていた。たぶん表情も情けなかったのだろう。あの時彼はつぶやくように、「人間、こんな風になっちゃうのか…」と言っていた。

Mさん、いつも正直なのだ^^。

自分が人を驚かすほど、「回復」しているとは、気がつかなかった。でも彼の正直な反応を逐一覚えている私は、今日の骨密度検査で、自分の体が変化していることに驚いた。

で、私は不思議がる医者に、「八雲風化カルシウム」の話をしようとしたのだけど、「八雲ふう~」くらいまで言った途端に、医者はものすごく拒絶した。「そんなもん、関係ない、医学的に証明されていない、ボナロンだけが骨密度の対応できる薬なんだ!」

彼の表情を見たら、なんだか昂揚していた。

半ばあきれて、私は黙った。別に私はこの医者、信用していないわけじゃない。私は案外好きな医者なのだ。いつか巷で喧伝されていた新型インフルエンザを心配して、私が電車を避けていると言ったら、「あ、インフルエンザね、あれは黙っていてもみんなかかるんです。どんな防御策も駄目、あっちから来るんだから」と言った。しかも表情を見ると、バカにするでもなく、地球に空気があるみたいに当たり前のことを淡々と言っている感じで、却っておかしくて気に入ってしまった相手である。

でも今回は「八雲風化カルシウム」がひどく彼の気に障ったみたいだった。こっちにも知識があるわけではないから、議論する気はまるでないんだけど、あ、こりゃだめだ、と私は感じた。

医者って、自分の医学のみを信じているんだろうなあ。でも医学って、「信じるもの」じゃなくて、研究して発展させていくもんじゃないの?