Ruriko's naisentaiken

エルサルバドル内戦体験記

テレビで得たうろ覚えの知識だけど、汗と言うものは、体温調節のために、必要なのだそうだ。冷房に慣れた現代人は、汗をかく能力が鈍っていて、そのために熱中症になるそうだ。人は老人になると、体温調節が効かなくなり、汗のかき方も鈍くなるという。

私は、若い時、あまり汗をかかなかった。いくら暑いと自分では感じていても、人は私を見て、「涼しい顔」をしていると、よくいっていた。ところで老人になった今、よく汗をかく。その汗が目に入るので、タオルの鉢巻きをして、タオルを首に巻いて、手首にもタオルを巻いて、自転車に乗ったり、木の枝の伐採をしたりしている。

体中汗でドロドロになり、着ている服は絞れば水滴が滴るほどになる。おかげで、老人になっても「体温は調節」されているらしい。ただし、そのあとは、死んだように眠る。コーヒー飲もうが、濃いお茶を飲もうが、8時以降のテレビなんか、見ていられない。自分が生きているのは、朝の2時間だけみたいに思える。

枇杷の枝を剪定して、御来光が拝めるようになったベランダに出て、早朝空を眺めた。空がなんだか凄く広いと、この頃感じる。枇杷の枝がない所為だけど、実は、その枇杷、あまりにも丸坊主にしてしまったので、心配して、朝毎日見ているのだけど、丸坊主になった枝から、ぷちぷちと薄緑色の芽が出ているのを発見した。

よかった!お前は、強いなあ、と私は枇杷に声をかけた。枇杷には世話になっている。5,6年前の暮、咳がとまらなくて、苦しんだあの日以来、枇杷の葉のお茶を飲み、枇杷酒を飲み、胸が痛む時は枇杷の葉で胸を覆い、夏に実が実れば、ご近所に分けて、実に人間関係の接着剤の役割まで果たしてくれた。今回その枇杷を傷つけたことを、私は少し心苦しく思っていた。

枝の周りにたくさんの新芽を発見した時、だから、私は喜んだ。今毎朝「貴重な」汗をかいているのも、実は枇杷の枝の整理と言う、かなりの労働をしているからだけど、いつまで自分は、こうしていられるのか、本当のことは、わからない。と言うのは、散歩も労働も、朝の2時間だけで、後は、私はほとんど寝ている状態だから、自分が元気なのか、どこか悪いのか、わからないんだ。

まあ、どうでもいい。私はただ与えられた時間を死ぬまで生きる以外にない。