Ruriko's naisentaiken

エルサルバドル内戦体験記

Mさんの申し出

一晩中、腰痛で苦しんだ。たぶん、寝る前に薬を忘れたんだろうと思ったが、記憶が定かではないので、2重摂取を恐れて、敢えて放置した。

起きてから、朝食を済ませて、薬を飲んだ。鶏に餌をやってからしばらくしたら、玄関のベルが鳴るので、出て見たら、リフォーム屋のMさんだった。買い物に行く気があるなら連れて行ってくれると言ったんだけど、即座に私は言った。

トイレットペーパーとお米は間に合っているし、松戸は特に食糧難じゃないから、大丈夫、それより、ケーヨーデーツーまで行くんなら連れて行ってほしいけれど、今日は凄い腰痛なんだ、と言ったら、彼、ニヤニヤしている。

話をしているうち、彼も、買いだめ狂想曲にうんざりしているらしい。なんでも、マルエツが入場制限しているんだって。

へえ、マルエツごときが、生意気だ、と言ったら、彼も、へらへらと笑う。だって、何も松戸や流山に飢饉が起きているわけでもないのに、生鮮食品だって、野菜だって、十分あるんだから、毎日の食べ物に不足ないじゃないの、なんでまた、入場制限するほど、みんな並ぶの?

みんなやっぱりトイレットペーパーとインスタント食品と穀類を買いあさっているそうだ。

で、なんで?と聞いたら、計画停電の予告におびえて、たった3時間の間に、10ダースのトイレットペーパー使って、100キロのお米と、倉庫いっぱいのインスタントラーメンを食べるらしいね、だって。

あさましい・・・。

ひゃっはっは、ひゃっはっは、と二人で笑った。

で、奥さん、ケーヨーデーツーで何買うの?と聞くから、石と小さな池が欲しいと答えて、このまえビバホームで猫おばさんたちと買ってきた青い石を得意そうに見せた。彼、その石を見て、もっと愉快そうに笑う。

きゃはは。みんながトイレットペーパーとラーメン買いに並んでいる「この緊急事態」に、奥さん、石買いに行ったの?だって。

そうさ。私はここん所にもう1段作って、池はめ込んで、睡蓮を楽しむんだ。池の周りに、石を飾るんだ。トイレットペーパーじゃ楽しめないし。

彼、笑いっぱなし。

だって私はもうすぐ70歳よ。70歳にもなって、トイレットペーパーに囲まれて余生を過ごすなんて考えられない。折角崖崩れのおかげで、面白い土地ができたんだ、私はここでもっと遊ぶんだ。

Mさん、物凄く愉快そうに、じゃあ、またの機会に買ってきてあげるよ、だって。私の姿勢からみて、今日は無理らしいと悟って、やめたっていう表情。彼親切だけど、たぶんあの表情だと、親切にする相手を決めているね^^。案外、付和雷同ねーちゃんたちには、不親切かもしれない。