Ruriko's naisentaiken

エルサルバドル内戦体験記

ちょっと自分ながら面白い話

昔あるブログに書いた話だけど

言っても言わなくてもいい話。
今日病院にリハビリに行った。ちょっと待ち時間があったので、スマホをいじっていたら、隣に座っていたおばさんが、たまげるほど不作法に、私のスマホを覗きこんだ。なんだ、なんだ、何が起きたのだ!私が呆然とするほど唐突で、面食らった。
ところがそのおばさん、極めて普通の顔して、「あたし、ばかなの」という。「確かにねえ」と答えたくなるのを我慢した。「頭悪いの!其れに結婚してないの」
「はあ、頭悪くて、結婚しないんですか」と、言いたかったけど、やっぱり我慢した。
ばかばか名乗るから、もしかして、苗字が「葉華さん」とでもいうのかな。初対面だし、名を名乗っているのかもしれない。善意に解釈を試みた。
で、彼女、自分の頭を抱えて、何度もたたいて見せるので、「ひょっとして、頭のリハビリにいらしているんですか」と言ってみた。反対側に座っていた婆さんが笑い転げている。
「あたし結婚してなくて、頭悪いけど、62歳なの。70になったら結婚しようと思ってねえ。私の友達、104歳よ。」
「ほう、104歳で結婚したんですか?」と私は普通の顔して応じた。「そうじゃない。そうじゃない。私が72歳で結婚するの。ア、お兄さんが来た。」そこに血圧を測りに来た係員が、対応し始めたので、「あ、良い鴨がきましたよ、結婚申し込んだらいかがですか?」と言ったら、そのおばさん、興奮しちゃって、血圧190だって。すご!
ところで、彼女、別れ際に私に頭をさげた。
「ありがとう。楽しかった。」
きっと、あの人、誰にも相手にされなくて、よほど寂しいんだろう。ああいうの相手に、対応する人、多くないだろうなあ。
もしかしたら、どこも悪くないのに、口実設けてリハビリに来ているのかもしれない。私はよいことしたような気持ちになった。