Ruriko's naisentaiken

エルサルバドル内戦体験記

声域が戻った

江戸川散歩開始。

やっと朝の散歩に出る気になった。準備は全然していない。でも、このところ、松戸に行ったり、柏に行ったりして、数時間自転車に乗るのが楽しくなった。去年は、真夏になって始めたけれど、梅雨の晴れ間、気温がそう高くないから、去年みたいに重装備する必要もない。

適当に朝食をして、テレビ体操もこなして、アクエリアスと、小魚と、とれたての枇杷を、途中の胃袋補給に用意して、7時ちょっと前に家を出た。南流山の駅を左に見て、道なりにまっすぐ行けば、江戸川にぶつかる。でも自転車で土手に上るには、左折して新しくできたレンガ色の道を登る。

標識には「海から26,25キロ」とあるから、そこから5キロくらい走ろうと思った。32キロ当たりの地点まで。往復で10キロ。そのくらいで散歩は、良いだろう。

時間的に人がいない時間らしく、あまり人に会わなかった。サイクリングの若い人たちはもっと早い時間に走るし、家庭の人は朝食時だ。犬の散歩もあまり出ていない。なにしろ、その3種類の人達、怖いんだ。サイクリングはぶっ飛ばして目に見えない早さだし、爺婆たちは文字通り「むこう見ず」だし、犬の散歩は、犬のリードが怖い。そして誰も交通規則は守らない。

今日は、閑散としていて、のんきな気分で走ることができた。だから、いい気になって、250mごとの標識をずいぶん越えて、34キロにかかった時、トイレに行きたくなった。

私は流山側は、松戸側と違って遊興施設も、ベンチも「なにもない」から好きだ。よい空気を満喫しながら、ただただ走る。しかし、「何もない」という意味は、トイレもないし、普通の道路に降りる通路もないということ^^。川と反対側の景色は明らかに人の住む町だから、コンビニを見つければ、トイレくらいある。しかし、30キロ台のサイクリングロードには、町に降りる出口がないのだ。

仕方がない。5キロ以上走ったのだから、もう良いだろう、引き返そう、と決意して引き返した。

マガモが川に泳いでいる。雄は羽の色が美しい。昔雌雄を飼っていたから懐かしかった。アダムとイブと名付けたあのマガモの夫婦、小学校に上げてから、25羽の雛を育てたそうだけど、どうしているだろう。

ところで、走りながら、口笛が出た。他人事みたいないい方をするのは、実は長いこと、口笛がかすれて出なかった。憶測だけど、やたらにのどが渇くところから察すると、婆さんになって唾液が少なくなって、口笛がかすれるのではないかな。そう思って私は長いこと、口笛を吹かなかった。誰もいなくて気分もよかったから、昔よく歌っていた曲が口笛になって出てきた。

へ~~~、と思った。ついでに歌も歌ってみた。中学時代に習った歌、「はかぜかろらに、のぼるやひばり」で始まる歌。なぜこれが出るのか、知らないけれど、気分がよいと、この歌が出てくる。で、のどもかすれ、音域も失っていたはずの私が、声を出して歌ったのだ。完全にあの歌が全部歌えた。

自分で驚いた。口中の唾液が減少してのどもかすれ、歌が歌えなかったはずじゃないの?

おまけに記憶まで正確なのだ。

羽風かろらに 昇るやひばり
霞押し分け 青雲しのぎ
声もさやかに 歌うやひばり
声もさやかに 歌うやひばり

うららの今日を 若草摘むと
友を恋いつつ 春の野行けば
立つやひばりの ふじなをしだき
立つやひばりの ふじなをしだき

父母偲び あめに舞いゆき
わく子恋いては つちに飛び来る
ゆかしひばりよ わが友呼びこ
ゆかしひばりよ わが友呼びこ

と、歌ったんですよ。ひょっとして、私、死ぬ前かな・・・。