ところでロメロ大司教は神様になったらしい
ところで、エルサルにいたとき、ロメロ32回忌にロメロ大司教の暗殺の地、私が「落ちた一粒の麦」と題したロメロ最期の瞬間の絵を寄贈したガン病院に行ってみた。
私の絵があるはずの、ロメロ記念館に入ったところで、シスターがロメロの一生の説明をしている最中だった。私があの絵の作者だとは、気がつかないシスターが、こう言っていた。
「ロメロ大司教は死ぬとき、カリスなんか持っていなかった。この絵は知らない人のただの想像図であって、真実じゃない。ロメロ大司教はご自身の血と肉をささげ、ご自身が新しいキリストとなられたのだ。彼の血と肉が新しいキリストなのだ。」
ちょっとへんてこな気分になった。私の絵だって彼の死の【解釈】の一つであって、絵は真実そのものでないことはわかりきっている。彼女の神がかり的解釈よりはキリストに対する信仰のある者としての、まっとうな解釈じゃないかなと思った。
ところであるとき、私は主人の姪と一緒にある(国立)美術館に行った。中に飾られた絵そのものは、鑑賞に堪える絵だったが、最後に案内されて眺めた絵は、ロメロを題材にした絵だった。
祭壇で倒れたロメロが天に挙げられ、おっぱいまるだしの天使らしき女が月桂樹の冠をロメロにかぶせようとしている絵。説明では、ロメロは死んで神となった、ということで、なんだか、靖国に祭ったほうがいいような。
寄贈した絵、あんな扱いするなら返してもらおうかな…